魔界京都の不思議話と電脳露天商のアロハ太閤記 第38号
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◆魔界京都の不思議話と電脳露天商のアロハ太閤記◆
【第38号】2007/11/30発行
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●第三十八話:鬼退治の真相は
かつて京の西に、「鬼」と呼ばれる男たちがいた。
彼らは丹後から京へ至る老ノ坂の山中にアジトを持ち、都に出ては金品を奪う
盗人の集団やった。親玉の酒呑童子は無類の酒好きで、下っ端に酒や食料など
の調達を命ずる。山を下りた彼らが近くの峠に立ちふさがるだけで、通行人は
恐れをなし、金品をおいて逃げだすありさま。
この噂はあっちゅう間に広まって、老ノ坂の峠を利用する人は激減した。
このあたりから人通りが絶え、男たちはますます都へ出て生活資材を調達する
羽目になる。山中で暮らしているため、着てるもんはボロボロ。いかついひげ
面で、手には山刀やら鉈やらを持って脅しにかかる男たちを見て、都人は口々
に「鬼や!」と呼んで恐れをなした。
それでよけいに荒くれた男たちは、欲求のおもむくままに婦女子をかどわかす。
こうして酒呑童子一味は恐れられ、嫌われ、退治への要望が高まった。
山賊退治の命を受けたのは源頼光。
従うたんは渡辺綱、坂田金時、卜部季武、平貞満の四天王。彼らは豪放な武者
として有名やけど、けっこうアホなこともやってる。
賀茂祭の日。女性用に見せかけた牛車に相乗りし、人混みをすり抜けて特等席
で見物しようと出かけたこともある。ところが狭い車中に4人の大男では身動
きならんと(牛車だけにぎゅうぎゅう)、結局は乗り物酔いで屋敷に逃げ帰った
ちゅう、まことに情けない逸話も残っている。
いっぽうの酒呑童子は「明け暮れ酒を好みたるにより、人みな酒呑童子と呼ぶ」
といわれるように大酒呑み。けど、自ら立てた「出家は襲わぬ」の誓いをかた
くなに守る頑固者でもあった。
それを逆手に取ったのが頼光と四天王。彼らは50余人もの従者を連れて成敗
に出たんやけど、一行は山伏姿に身を包んだ。そして決行の日の夜半、アジト
の門を叩く。
「筑紫の僧だが、道に迷って難儀しておる」と。
酒呑童子は山伏の姿を見て「わしらの住まいを他言してはならぬ」と言い置き、
一夜の宿を提供。50余名の山伏をアジトに招いて酒肴を提供し、気持ちよく
泊めてやったのである。このあたり豪放磊落、実に太っ腹なエエ人やんか。
修験者が喜んで酒を呑むのもおかしな話やけど(そこに気付けよ、酒呑童子)、
とにかくこの日は大宴会となった。山賊の親玉で稀代の大悪人と言うても、や
はり人の子。酒呑童子はすっかり酔っぱろうて、ごろんと横になった。
それを見届けて、頼光たちは山伏装束を脱ぎ捨て、一気に襲いかかる。
修験者の突然の変わり身に、腕に覚えのある山賊たちもさすがに逃げまどい、
あっけのう勝負はついた。
頭脳プレーの正体はだまし討ち。一宿一飯の恩義もかなぐり捨てて、頼光と四
天王一行は酒呑童子にとどめを刺し、首を落とした。あ〜れ〜。
鬼と恐れられる酒呑童子は、酒に呑まれて息絶えたそうな。
これから暮れは忘年会、明けてお正月は新年会ちゅう酒呑みハイシーズンです
けど、皆様も呑み過ぎにはくれぐれもご用心を。
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★『老ノ坂峠』の今
一節には「酒呑童子とは、疫病を流行らせる疱瘡神やった」とも言われ、平安
京に入ってくる疫神を都の手前で食い止めたちゅう話が伝説のルーツやという
説もあります。
さて、近年はベッドタウンとして開発めざましい西京区。ほんの10年ほど前
までは、柿の果樹園や松茸山などが連なるのどかな一帯でした。国道9号線を
亀岡へ向かうと、『老ノ坂トンネル』に至ります。この脇にある細い旧道から、
今なおうっそうとする山中へ入ったところに『首塚大明神』と記された祠が。
酒呑童子の首を埋めた塚やといわれ、首が埋めてある?だけに頭痛や眼病など
「首から上の病に霊験あらたか」として知られてます。
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