No004 [オーストリアからの新メール]
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オーストリアから こんにちは!
お久しぶりです。
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「オーストリアからの新メール」No.4
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 Austria, Die,5.Februar 2008
電話では名乗らないのがしきたりなの、
オーストリアでは?
お互いに姿が見えないから?
別の電話が良く掛かって来る。
「○○君、いる?」
○○というのは我が息子の名前ではある。
我が家共有共用のハンディーを手に取ったと同時に、そうした問い合わせが耳元に
飛び込んでくる。
我が家に電話をする人たち、つまりオーストリア国のオトナであったりコドモであ
ったりするのだが、電話をするオーストリアの人たちは、その電話で話したい本人が
いわば自動的に、直接電話口に出てくるものとでも思っている節があるようだ。
「ちょっと待った。君、誰? 名前は何と言うの?」
「××。○○君、いる?」
×× というのは電話を掛けて来た少年の名前だ。
どうして最初に名乗らないのか!? わたしはいつも不思議に思う。
名も名乗らずに、突然用件だけを言うとは失礼でないのか!? そんな電話を受け
取って、わたしはいつもちょっと不快に感じる。もっともその少年に向かって説教を
するようなわたしではない。
「○○はまだ学校から帰ってきていないよ」
「あっそう」ガチャン。
あっそう、ガチャン、と一方的に切ってしまう。いや、切ってしまった。取り付く
島もない。あっそう、ガチャン。
で、応対に出たわたしは一体何者なのでしょうか? 関係ない、ということなのか。
君はわたしの貴重な時間を奪っていたんだよ、分かっているの!? とその子に向か
って言いたくもなったが、言うことも出来ない。オーストリアの子供たち(または我
が息子の友達、と言い変えて置こう)は礼儀がない、とわたしはそんなガチャンを耳
に残しながら、つい思ってしまう。学校では電話の掛け方を習わないのだろうか。ま
たは家で電話の掛け方を親に教えて貰わないのだろうか。
オーストリアの人たち、子供たちは、とわたしは敢えて一般化したような書き方を
しているが、もちろん、オーストリア国の人たちは皆んそうなのだ、などと断定して
いるのではない。が、ついつい、そんな風に一般化してしまいたくなる現象が常茶飯
事的にわたしに限っては起こる。一般化する、しない、それはわたしの問題かもしれ
ないが。それで以って問題が解決されるというわけでもないのだろうが。
「もしもし」と電話を掛けて来た人。
「もしもし?」とわたしは応じる。
「わたしよ!」
「わたしさんですか?」とわたしは応じる、とぼけて。
「何言っているのよ。わたしよ!」
「だから、わたしさん、ですか?」
「ねえ、好い加減にしなさいよ! わたしだってば!」
「わたしだってばさんですか?」
”わたし”さん、”わたしだってば”さん とはわたしの奥さんのことだった。で
も、電話で聞く声はどこかいつもの声とは違って、まさにわたしさんという知らない
人が電話して来たかのように聞こえるのだった。
昼食を取りながら、つまり何か口に含みながら、ちょうど今、時間が取れるからと、
わたしの声でも聞きたいのか、それともわたしはもう寝床から起き上がっているのか
と確認したくて、電話して来たのかもしれない。
電話をするにも食べながらモゴモゴと話をするとは、とわたしはちょっと、そうち
ょっとだけ、不満な思い傾き掛けたのだが、まあ、相手にも事情があることだろうか
ら、とちょっとだけ寛大な心でそうした電話の仕方もあり得るのだろう、ということ
で自分を諦めて、受け入れる。
こちらの人はどうして名乗らないのだろうか。名乗らない人ばっかりにぶつかって
しまっているのかもしれないが。
電話を掛けた先の人が、先に名乗ることをまずは期待している、といった風だ。わ
たしはそのように理解し始めた。まあ、それはそれでよい。
それは誰もがハンディーを持っている御時世で、特にオーストリアでは殆ど一人に
一台という統計が出ていたのをどこかで読んだ覚えがあるが、だからハンディーから
ハンディーへ、つまり特定個人から特定個人へと特定な電話をすることが多くなって
いるのだろう。直接本人につながると思っているらしい。
* *
電話がまた掛かって来た。
わたしはハンディーを直ぐ手に取って、受信用のボタンを押した。
「○○○○です」とわたしは直ぐに名乗った。
「ガチャン」
何だ!? 何なのだ、今のは!?
実はよく起こることなのだ。こちらが名乗ったと同時にガチャン。
言うまでもないが、ガチャンという名の人が名乗ったのではない。
こんな例は何度あったかもう数え切れないほどだ。いわば勝手に電話してきて、こ
ちらが受話器を取って名乗ったと思ったら、一方的に切ってしまう。相手の声はまだ
一度も聞いていない。
「ガチャン」という人が電話して来たのではない。名も分からない、名も名乗らな
い人、名も名乗れないのかも、電話が掛かるかどうか、たまたま我が家の電話番号で
実験したのかもしれない。
そう、間違い電話をしたらしい。が、それを自分にはこそこそと隠れて認めていた
としても、わたしには「間違い電話をしてしまいました、すいません」の”間”も
”す”も出てこない。
失礼千万!とわたしは良く感じたものだが、何度もそんなことが続くと、そんなも
のなのか、と自分に、状況に妥協してしまう。
* *
そこで電話が掛かってきたら、こちらからは名乗らずに、そのまま無言で待つこと
にしたことがあった。
そーら、電話が掛かってきた。
わたしは受話器を取った。でも、わたしは何も言わない。向こうの様子がときに聞
こえて来る。酒場から電話して来ていると分かるような雰囲気が伝わってくる。
電話を掛けて来た人、少々不安そうに聞いてきた。
「○○○○さんのお宅ですか?」
「はい、そうですが」
「奥様はいらっしゃいますか?」
「残念ながら、今席を外しておりますが」
「いつお帰りですか?」
いつお帰りですか、って、そんなこと、お宅には関係ないでしょう!? と反論し
たくもなったが、素直に当たり障りなく答えた。
「分かりません」
「そうですか、じゃあ、また後で掛けなおします」
「そうですか、そうしてください」とわたし。
会話が終了した後、遅ればせながら、わたしは不思議がっているのだった、今電話
してきた人は誰だっただろうか? と。またも名前を聞くのを忘れてしまった、と。
わたしもドイツ語での電話の受け方の講習に出る必要があるようだ。オーストリア風
電話の応対の仕方、そんなコースはあるのだろうか。
* *
電話が掛かってきた。ハンディーの窓口を見ると掛けて来た人の電話番号が見える。
知り合いの日本人女性だ。それと知っているので、いつもとは違った風に応対した。
「ヨボセヨ!」とわたし。
「・・・・ 」と相手側は何の反応もない。
「ヨボセヨ! ウエキムニダ!」とわたしはもう一度言い放った。
「・・・・・」と相手側は別の人、ご主人に電話を渡したらしい。
「ヨボセヨ! 何々何々ダ 云々ダ、愚だ愚だ」と相手も負けずに外国語で応
じてきた。
そんなに長く応じてきても、わたしはこの外国語の初心者で、全然聞き取れない。
電話ではソヨボセヨ! ということぐらいしかまだ応用したことがない状況だ。
相手もとぼけて、乗ってきて、どんどんと喋り捲くり出した。この御主人、オース
トリア人だが、実は韓国に住んだこともあって、韓国語の会話は母国語のドイツ語の
ように喋る人だ。逆に一本取られてしまった。
次回まで、ごきげんよう!
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