[暇人体験記 No.390 2008/07/20]
甚平があこがれた往年の伊達男、逝く!
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暇人体験記シリーズ 「たった一人のお葬式」 2008/07/21
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<目 次>
第4章 別れとは
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ジリジリとした夜が明けて、10時開始の告別式に出かけた。
会場のセレモニーホールに入り、案内に従って3階の式場に行こうとすると、
支配人が現われて式場には入らないでくれと言う。それが喪主である奥さんの
意志なのだと言うのである。昨晩の通夜も奥さんがお一人でなされ、これから
始まる告別式もお一人でなさるというのが、喪主の強い決意であると言う。
われわれ4人以外にも病院で聞かれたと思われる町内の方、会社の方など10名
ほどがみえられていたが、親戚関係者は誰もいなかった。
みんなで支配人にお願いして、もう一度奥さんを説得してもらうことにしたが、
結局意志は変わらずに、無理に入れば「私は帰ります」とまで言われたという
ので参列を断念した。せめて出棺の時に遠くからでもお送りしたい…というわれ
われに、支配人は事務所の中で待つように手配してくれて、監視カメラで式場の
様子を見せてくれた。
奥さんはたった一人でお寺様の読経を聞き、ご遺体に手を合わせていた。
それは妙に神々しく、清々しく見えたのである。一心に手を合わせる奥さん以外の
姿は無いから、動くものが何も無いので、シンとした静謐(せいひつ)な会場に
響くのは読経の声だけである。ああ、こんなお葬式も悪くは無いな、と思った
のである。たくさんの参列者のいる告別式に比べると、寂しすぎると思っていた
会場には、奥さんの祈りが満ち満ちていて、満席の参列者のいる場合に勝る
雰囲気があったのである。
こんな静かなお別れの仕方があったのか、と感銘を受けながら、そういえば
最近はお骨の扱いも変わってきたから、葬儀自体も変化して当然だと感じたので
ある。奥さんの焼香が終わり読経も終了していよいよ出棺である。この静かで
荘厳な葬儀を見ていたのは約10名、出棺を陰ながらお送りをしたいと、奥さんの
気持ちを乱さないように、われわれは駐車場の車の中から静かに送ろうと思った。
そこへサークルの代表である禅寺の和尚様が突然現われた。
そして事情を聞いた和尚様は、墨染めの法衣を翻し一人で会場に向かったが、
しばらくすると玄関に出てきてわれわれを手招きする。『奥さんから了解を
もらったから、お参りと出棺の手伝いをするように…』と指示をされた。
さすがわが代表!…と喚声を上げそうになったが、ここは葬儀場であるから
グッと堪えて会場に入る。
先輩のお顔を拝みお花を供えてお参りをする…静かなお顔であった。
みんなで手を添えて棺を持ち、玄関に降りて霊柩車に運び入れる。
結局われわれ5人が斎場にお供することになり、和尚様の読経の流れる中、
最後のお別れをして控え室に入る。
そこで奥さんから入院して葬儀に至るまでの事情をお聞きした。
(つづく)
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