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Tokyo BAR Story (ID:4929)
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東京の片隅にあるカウンターだけの小さなバー。笑い、涙、ため息、もちろん恋愛
も
バーで繰り広げられる出来事を熱く、淡々とノスタルジックにシュ−ルに語ります
発行周期マガジンタイプ総発行部数購読料
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ジャンルの指定 性別の指定 地域の指定 年代の指定
芸術、文化、芸能 男女問わず 全国版 年齢問わず
 
発行部数の推移 過去10号分
発行回数発行日時発行部数発行部数の推移 ( 右端は50部 )
第132号 2008/01/26 12:52:5147
 
第133号 2008/02/21 22:22:1347
 
第134号 2008/04/05 16:22:4945
 
第135号 2008/04/18 00:48:3446
 
第136号 2008/05/31 01:02:0746
 
第137号 2008/06/06 17:09:2146
 
第138号 2008/06/21 17:29:3146
 
第139号 2008/06/28 19:33:5646
 
第140号 2008/07/04 01:06:0746
 
第141号 2008/07/19 14:20:5845
 
 
バックナンバー 最新号
第141号 2008/07/19 14:20:58 発行
 
暑い夏、再会〜Tokyo BAR Story
 

 Tokyo BAR Story の読者のみなさんへ
 

 こんばんわ、Jです。

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   暑い夏、再会〜Tokyo BAR Story


 別れた恋人と、何年何十年ぶりに偶然出会うことがある。
 そこから再びつきあいが始まることもあるし、時の経過が
 お互い違う世界にいることを思い知ることもある。

 1年前につきあっていたオンナ。
 私がフラれた。
 偶然仕事場で再会した。昼時だったので、近くのファミレス
 でランチを食べた。女には新しい恋人がいた。正確に言えば、
 別れた直後だった。

 オンナが涙を流しながら話す男との別れの理由は、私が懸念
 していたとおりだった。彼はオンナに、「癒し」や「やさし
 さ」を求めていた。男が家庭に求めるひとつの理想。

 しかしオンナが理想とする恋愛関係は、「お互いが刺激しあい、
 お互いが尊敬でき、お互いが高まっていく」ことだった。
 自分も相手も対等の立場で仕事をし、何ごとにも妥協は許さ
 ない。
 当然すれ違いが生じ、男はオンナのもとを去って行った。

 「彼は、君と共に“生きる”ことできても、共に“暮らす”
  ことはできないとわかったんだろうな」

 私がそう何気なく呟くと、オンナは驚いたように目を開き、長い
 間無言で私を見つめ、そして何も喋らなくなった。

 女を近くの駅まで車で送ることにした。
 沈黙。
 夏の日差しは強く。エアコンがきいた車内でもうっすら汗をかく
 くらいだ。

 「つきあってる人はいるの?」
 オンナがぽつりと言った。

 「君と同じで見事にフラれたよ」

 「うそ。フラれさせたんでしょ?」
 オンナがクスリと笑った。
 笑うといい表情だ。しかし意識して好きな男の前では笑えない。
 こびることが苦手なのだ。その分、損をする。

 「そこまで確信犯じゃないぜ」

 「ううん。女はね、一瞬でも男が自分に関心がないと感じるとす
  ぅーと愛がさめていくものなの。たとえそれ以外は全部好きで
  も。あなたはそれを意識して演じる。」

 「傷つくことを思い出にできるほど若くはない」

 オンナが再び笑った。
 まるでどこかのバーのカウンターで飲んでるようだ。
 私は、スロー・テキーラを、オンナは、アンバサダーを飲んで
 いるかもしれない。

 再び、沈黙。
 別れた男女が二人きりになる状況は、なかなかハードなものだ。
 いろんな思いが交錯して、かえって寡黙になる。
 FMからはスティビー・ワンダーの「STAY GOLD」が流
 れている。

 
 あの頃に 時間を戻して     
 全てが永遠だと思っていた時に    
 でも 空が移り変わるように    
 時の中に とどめておけるものはない   
 ずっと輝くままに 


 お互いがお互いの「言葉」を探していた。先に口を開いたのは、
 オンナの方からだった。

 「どこか二人でキスするところに行かない?」

 長い沈黙があった。
 午後の車の停滞の中、何軒かのホテルの文字が目に止まった。
 どちらかにハンドルを切ればこの停滞から抜けるし、女とも抱き
 合い、キスができる・・・。
 私はゆっくり首を振った。
 
 再び長い沈黙があった。
 しばらくして、女がニコッと笑った。それはとても魅力的な笑顔
 だった。そしてこう言った。

 「今までたくさんの男とつきあってきたけど、みんな男から別れ
  を告げてきたわ。さっきの彼氏もね。でもあなたは、私からさ
  よならを告げた唯一の男だったな」

 「ホメ言葉として記憶しておくよ」
 私は笑って答えた。

 駅のロータリーで女を降ろし、振り返らないオンナの姿が人ごみ
 の中に消えていくのを見て、これで終わったなと思った。

                              J

   感想は、こちらまで

  fwpf1594@mb.infoweb.ne.jp


 ☆「Tokyo BAR Story」が書籍になりました☆ 

  タイトル  「グラスの中の風景」 
  コード   ISBN/JAN:9784434117947 
  著者名    田上 純市(ペンネームです) 
  価格     1,300円 
  出版社    しののめ出版 

  アマゾンでは 
  http://www.amazon.co.jp/ 

  楽天ブックスでは 
  http://item.rakuten.co.jp/book/5602817/ 

  セブンアンドワイ(セブンイレブンで受取れます) 
  http://www.7andy.jp/books/detail?accd=32058845 



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