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日常の風景(文章スケッチ) (ID:8289)
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心の中にことばの絵の具を色とりどりにいっぱいつめておきたい
日常のなんでもない風景スケッチをお届けします
心象風景も含めて、ほっとするようなスケッチです
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第198号 2008/03/09 19:48:4732
 
第199号 2008/03/16 21:33:4732
 
第200号 2008/03/28 17:54:5131
 
第201号 2008/04/09 17:39:0232
 
第202号 2008/04/16 10:51:2633
 
第203号 2008/05/09 13:00:5434
 
第204号 2008/05/28 16:19:5634
 
第205号 2008/05/29 17:07:5734
 
第206号 2008/06/11 11:58:3333
 
第207号 2008/06/26 10:16:5133
 
 
バックナンバー 最新号
第207号 2008/06/26 10:16:51 発行
 
日常の風景「嵯峨野にて」2008/06/26
 
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            日常の風景   NO.0205
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嵯峨野にて

平日にもかかわらず、嵯峨野の渡月橋のあたりは観光客でごったかえしていた。
嵯峨野に足を運ぶたびに何度も訪れている、天龍寺の観光から今回もスタートする。
足利尊氏が建立した禅寺で、回遊式の庭園は何時訪れてもみごとである。
今の時期は、紫陽花の透き通るようなブルーが目に鮮やかだった。

天龍寺の裏手には、いかにも嵯峨野らしい竹林が広がっている。
太い孟宗竹はよく手入れされており、竹林をふたつに分けるように
一本の小道が横切っている。

いかにも観光客向けに作られた、京都の名所のひとつであるが、
その小道にも観光客があふれていた。

特に、小鳥がさえずるような韓国語や大声で話される中国語が小道を飛び交う。
せわしなく記念写真を撮り、グループ内での冗談に甲高い笑い声が響く。
わたしたちが期待する閑静な竹林のたたずまいには程遠い。

しかし、竹林を越えてまだまだ奥に足を延ばすと、途端に人が少なくなり、
しっとりと落ち着いた嵯峨野らしい雰囲気になる。

相棒と京都に来るのは久しぶりのことである。
引出しを整理していたら、2年前にもらった宿泊施設の割引券が出てきた。
現金と同じように使用できるクーポン券で、そこそこの額になる。
ホテルに問い合わせてみたら、まだ使えるというので、急遽予約をしたのである。

最近仲間が書いた「嵯峨野を歩く」という詩を読んだばかりだったので、
行く先は、迷うことなく、嵯峨野を歩くことに決めた。
嵯峨野散策の最終目的地は大覚寺ということにした。

途中、化野(あだしの)の念仏寺にも立ち寄る。
無数の小さな石仏が林立する、荒涼、寂寞たる景色で有名なお寺で、
映画やテレビの映像では何度も目にしている。
が、具体的な観光は今回が初めてである。

奥嵯峨野と呼ばれるこのあたりは、まだ茅葺きの家も数件残っていて、
約千年の昔は、風葬の地であったと伝えられる。
「あだしの」陰々滅滅としたことばの響きが、いかにもそれらしく妖しい。

念仏寺に数千体並んでいる石地蔵は、長年風雪にさらされて目鼻立ちもはっきりしない。
よく見ればなんとか、ただの石の塊ではないということが判別できる程度である。
そのような石地蔵達が、時間を吸収し、情念にあふれた独特の景観を形作っている。

そんななか、御影石で造られた、四角くて白い墓石がひとつだけあった。
とても小さなものだから、子供のものには間違いがない。

場違いで、たったひとつが全体の景観を台無しにしてしまっている。
霊界に行っても、お金持ちの親心が仇になって、いじめられているのではないか。
そんな心配をしなければならないほど、異質な空間で浮き上がっていた。

子供といえば、ここ念仏寺は水子地蔵尊も有名で、
苔むした萱葺きの、簡素な小屋のような建物のなかに祭られている。

建物は簡素だが、回りにカラフルな提灯や紫の幕、
灯された多くのろうそく、切り花などが所狭しと飾り立てられ、
まるで霊界の幼稚園のようににぎやかで華やかな場所になっていた。

何気なく立ち寄ろうとしたら、なかには先客がいた。
若い夫婦である。先ほどから静かに、身動きもせずに祈りをささげている。
わたしたちのような、散策に来ただけの、ただの観光客ではない。
ふたりの祈りの邪魔にならないように、足音を忍ばせて、そっとその場を離れた。



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sceneryの風景

わたしの住んでいる彦根から京都へは新快速電車で約45分。
「行こうと思えば、いつでも行ける」という方程式に当てはめると、
「滅多にでかけることはない」という答えが出でくる。

今回はどちらかといえば偶然の旅。
ホテルのクーポン券を無駄にしたくないという欲得がらみの旅である。

近くの場所でも、日帰りと一泊とでは気分に雲泥の差がある。
わたしは地元の彦根でさえ、2回ほど簡保センターに泊まったことがある。
近江八幡の国民宿舎にも2晩ほどは宿泊している。

日本国内であれば、どこに出かけてもそれほど特別なものがあるわけでもない。
どちらかといえば、ゆったりとした気分、旅の気分や開放感を楽しみたい方なのだ。

今回は嵯峨野だけではなく、京都駅の美術館で開催されている
スイスの画家「アンカー展」にも行くことができた。
写真のなかった時代、写実的ですばらしい絵画を堪能した。
これも文学仲間の掲示板から教えてもらった情報だった。

梅雨の時期にもかかわらず、ラッキーなことに両日ともそこそこのお天気。
あくる日は、銀閣寺から哲学の道を通って、南禅寺までをゆっくりと歩いた。
久しぶりの哲学の道。目の覚めるような新緑と紫陽花のブルーが鮮やかで、
いかにも、京都を散策しているという気分でした。



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発行者 scenery
north@arion.ocn.ne.jp
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